【節税】学生納付特例の年金追納は社会人2年目以降がお得
皆さんは年金支払っていますか?
サラリーマンであれば会社が勝手に払ってくれますね。
学生の方は親が払ってくれる場合と自分で払う場合とがあると思います。
僕もまだ学生なのですが、毎年申請して滞納手続きをしています。
社会人になったらボーナスなどを利用して追納する予定です。
今回は、僕のように年金の学生納付特例制度を利用した人が、社会人になってどのタイミングで追納するのがベストなのかということを調査していきます。
滞納額はいくらになるか?
その人の誕生月にもよりますが、浪人や留年などせずにストレートに大学を卒業した人の場合、2~3年分の年金を滞納していることになります。
僕は早生まれですが大学院の2年分があるので、4年分もの年金がたまっています。
年金額を月1万6000円とした場合、およそ年80万円弱になります。
社会人になってから追納をしていくとしても、かなりの額にぞっとします。
なお、年金額は毎年数百円ずつ上昇しているので、滞納額は人によって多少上下します。
年金追納は所得控除になる
国民年金保険料の支払いは、その全額が所得控除になります。
これによって住民税と所得税が節税できるんです。
まず住民税ですが、これは全国一律で課税所得の10%と一律で決まっています。(たぶん)
年金追納額はまるまる所得控除になり、課税所得が減額されるため、節税額は年金追納額の10%になります。
次に所得税を見ていきましょう。
日本は累進課税制度をとっており、以下の表のように所得が多くなるほど税率が上昇する仕組みになっています。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0円 |
195~330万円 | 10% | 97,500円 |
330~695万円 | 20% | 427,500円 |
695~900万円 | 23% | 636,000円 |
900~1800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1800~4000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
社会人になりたての人では、年収は最大でも5~600万円くらいでしょう。
この場合、各種控除を引きますと所得税率は5~10%になります。
結論から申しますと、この各ステージの最低金額から足が出ている分だけ年金追納による控除を受けるというのが、最もお得な追納方法になります。
例として、4人のパターンを見てみましょう。
①9月生まれ、大卒、年収300万円のAさん
年金追納額は2年半分となるのでおよそ50万円です。
所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた課税所得はおよそ110万円になります。所得税率は5%ですのでこれ以上下げることができません。
この場合は追納額全額を払ってしまっていいでしょう。
課税所得は追納額分の控除額を引いて110-50=60万円となります。
したがって節税額は、50万円×(住民税率10%+所得税率5%)=7.5万円となります。
②3月生まれ、院卒、年収600万円のBさん
年金追納額は4年分となるのでおよそ80万円です。
所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた課税所得はおよそ300万円になります。
所得税率は10%ですが、年金追納額80万円を払っても所得税率5%に下げることはできません。
この場合も追納額全額を払ってしまうしかありません。
課税所得は追納額分の控除を引いて300-80=220万円となります。
したがって節税額は、80万円×(住民税率10%+所得税率10%)=16万円となります。
①4月生まれ、院卒、年収700万円のAさん
年金追納額は5年分となるのでおよそ100万円です。
所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた課税所得はおよそ370万円になります。
所得税率は20%ですが、40万円分追納して330万円まで課税所得を減らすことができれば所得税率は10%に下がります。
もともと支払うはずだった税金が370万円×(住民税率10%+所得税率20%)=111万円でしたが、330万円×(住民税率10%+所得税率10%)=66万円になりますので、節税額は45万円になります。
簡単のために昇給はないとして、翌年に残りの60万円分を追納してすると、納税額は(370-60)×(住民税率10%+所得税率10%)=62万円となりますので、節税額は49万円になります。
つまり、この方法で追納することができれば年金追納額100万円に対して、ほぼその全額である94万円もの節税をすることができるのです。
100万円を普通に追納しても節税額は5~20万円程度にしかなりませんから、この追納方法の節税効果がすごいことが分かります。
ここまでうまくいくパターンはなかなかないかもしれませんが、狙う価値はあります。
所得税率は課税所得額に応じて変動するので、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
追納時期はいつがいいのか?
さて、今回の記事で一番伝えたい内容、追納時期はいつがいいのかという事を説明していきます。
追納が遅れると加算額が上乗せされる
とその前に、学生納付特例期間分の年金の追納は10年前の分まで遡って追納することができます。
逆に言えば、10年以上追納せずに放っておいてしまうと追納することができずに、将来貰える年金額が減ってしまうことになりますので気を付けてくださいね。
さらに、追納が遅くなるほど当時の保険料に加算額が上乗せされていくので注意が必要です。
以下の表は、過去に学生納付特例の承認を受けた年度の保険料を、平成30年度に追納する場合の額になります。
年度 | 追納額 | 当時の保険料 | 加算額 |
---|---|---|---|
平成20年度の月分 | 15,170円 | 14,410円 | 760円 |
平成21年度の月分 | 15,260円 | 14,660円 | 600円 |
平成22年度の月分 | 15,520円 | 15,100円 | 420円 |
平成23年度の月分 | 15,310円 | 15,020円 | 290円 |
平成24年度の月分 | 15,160円 | 14,980円 | 180円 |
平成25年度の月分 | 15,130円 | 15,040円 | 90円 |
平成26年度の月分 | 15,280円 | 15,250円 | 30円 |
平成27年度の月分 | 15,610円 | 15,590円 | 20円 |
平成28年度の月分 | 16,260円 | 16,260円 | なし |
平成29年度の月分 | 16,490円 | 16,490円 | なし |
10年前の年金分を追納しようとすると、760×12=9120円も多く支払うことになってしまうので、あまり遅くなるのは得策ではないかもしれません。
追納時期は社会人2年目がお得
大学卒業してすぐの、社会人1年目に追納することは絶対に損です。
その理由は2つあります。1つ目は、社会人1年目は住民税がかからないためです。
住民税は前年の所得に対して課税されるため、社会人1年目の人は住民税がかかりません。
これはよく、社会人2年目の方が手取りが少ないと言われる原因ですね。
2つ目は、新社会人は4月から働き始めるため、1年目の年収が通常より少なくなるためです。
税金は1月から12月を区切りに計算するため、年収は4月からの場合4分の3に大きく減ってしまいます。
本来なら所得税率が10%の人でも1年目は5%になることがありますので、気を付けてください。
社会人2年目になれば、これらのイレギュラーな要素がなくなるため節税効果がきちんと発揮されます。
追納の加算額も数十円程度ですので、誤差として考えることができます。
ちなみに、追納が可能な10年以内に年収が増え、所得税率が5%から10%に、または10%から20%に上がりそうならば、それまで追納を待つというのも1つの手だと思います。
これは年金追納額の加算分との兼ね合いでどちらが得か、各個人で計算してもらえればと思います。
終わりに
長くなってしまったので、詳しい追納の方法や、年末の確定申告についてなどについては次の記事にまとめたいと思います。
是非こちらも合わせて読んでみてください。
計算が複雑な所得税についてまとめた記事はこちら。
住民税について解説したこちらの記事もあわせてご覧ください。