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【節税】住民税のしくみと計算方法を実例付きで詳しく解説

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前回に引き続き、今回は住民税について詳しく解説してきたいと思います。

住民税の計算は所得税と類似している部分もあり、所得控除の項目も同じです。

税金は基本的に、一年間の所得から所得控除を引いた課税所得に、税率を掛けたものがその額となります。
今回の記事では課税所得についての解説はしませんので、課税所得について分からない方はこちらの記事を御覧ください。 

 

調整控除とは

住民税と所得税の控除項目は基本的に同じなのですが、住民税特有の控除に調整控除というものがあります。

これは同じ控除項目でも、住民税の方が控除額が少なくなっている項目があるため、その調整をするという目的で設定されています。

まずは住民税と所得税で控除額が同じもの・違うものについてまとめた表をご覧ください。

 

住民税と所得税で控除額が同じもの
控除の種類 所得税、住民税
雑損控除 損失額に応じて控除額が変わる
医療費控除 1年間の医療費 - 保険金などで補填される金額 - 10万円 = 医療費控除額
(所得が200万円未満の場合、10万円ではなく所得の5%が引かれる)
社会保険料控除 全額
小規模企業決済等掛金控除 全額
青色申告特別控除 10万円もしくは65万円

住民税と所得税で控除額が異なるもの 
控除の種類 所得税 住民税
生命保険料控除 最高12万円 最高7万円
地震保険料控除 最高5万円 最高2万5千円
寄付金控除 特定寄付金 - 2000円 = 寄付金控除額
(控除の対象となる寄付金額は所得の40%まで)
特定寄付金 - 2000円 = 寄付金控除額
(控除の対象となる寄付金額は所得の30%まで)
ふるさと納税では、特例分も加えて控除される
寡婦寡夫控除 27万円 26万円
勤労学生控除 27万円 26万円
障害者控除 1名につき27万円 1名につき26万円
配偶者控除 38万円 33万円
配偶者特別控除 最高38万円 最高33万円
扶養控除 基本的に38万円 基本的に33万円
基礎控除 38万円 33万円

※各種控除は細かい規定によって表中に記載の額と異なる場合があります。

 

調整控除額の計算

上の表からわかるように、自分や家族などの「人」に関する人的控除に関して、住民税の控除額の方が1~5万円程度少なくなっております。
したがって、同じ課税所得金額でも控除額の少ない住民税の方が税負担が多くなります。

そこで、個々の納税者の人的控除の適用状況に応じて、調整控除額を設定し負担を等しくしようとする事が調整控除の目的となります。

調整控除額の計算は、課税所得が200万円を超えるかどうかに応じて変わります。

 

課税所得金額が200万円以下の場合

所得税との人的控除額の差の合計

②課税される金額

調整控除額 = ①と②の小さい方 × 5%

 

課税所得額が200万円を超える場合

所得税との人的控除額の差の合計

②課税される金額 - 200万円

調整控除額 = (① - ②) × 5%(※2500円未満になる場合は2500円)

 

調整控除の計算例

例として、独身サラリーマンで社会保険料控除と基礎控除のみが適用される場合を考えます。
このとき、人的控除の差額は基礎控除の5万円となります。

年収300万円では課税所得が約110万円となりますので、調整控除額は

5万円×5%=2500円 となります。

年収600万円では課税所得が約303万円となりますので、調整控除額は

5万円ー(303万円-200万円)×5% がマイナスとなるため結果的に2500円となります。

 

この2つのケースではどちらも2500円となりましたが、配偶者や子供がいる場合など、人的控除が多い場合には調整控除額も多くなります。

 

住民税の計算をしてみよう

住民税の税率は一律10%です。
内訳は市区町村民税が6%、都道府県民税が4%となっています。

課税所得(所得から所得控除を引いた額)に税率を乗じた金額が「所得割」額で、これに「均等割」額を足して調整控除額を引いた額が年間の住民税額となります。

したがって住民税の計算式は以下のようになります。

住民税 = 課税所得 × 10% + 均等割額 ‐ 調整控除額

 

均等割とは

均等割とは、住民税の中でも所得によって変動しない基本料金のような位置づけの項目です。
標準税額は市区町村民税分が3500円、都道府県民税分が1500円と定められております。
しかし最近は、環境保護目的などで数百円から千円ほど高く設定している自治体もありますので、詳しくはご自分のお住いの自治体HPなどで確認してください。

例えば東京都は通常通りですが、神奈川県横浜市は1800円+4400円と、標準より1200円も高く設定されています。

 

モデルケース

所得税の計算と同じように2人のモデルケースを見ていきたいと思います。

所得控除は全ての人が対象である、基礎控除社会保険料控除のみが適用されているとします。

 

年収300万円のAさんの場合

課税所得は約110万円となりますので、上の計算から調整控除額は2500円です。

住民税額は、110万円×10%+5000円-2500円=11万2500円 となります。

 

年収600万円のBさんの場合

課税所得は約303万円となりますので、上の計算から調整控除額は同じく2500円です。

住民税額は、303万円×10%+5000円-2500円=30万5500円 となります。

 

終わりに

前回の所得税に続き、今回は住民税について解説しました。

多くの人が社会人になるときにはじめて税金を徴収され(消費税を除く)、その仕組みは知らないという人が多いのではないでしょうか。

所得税と住民税についてくらいは知っておいて損はないと思いますので、ぜひこの機会に体系的に勉強してみるといいと思います。

このブログでも、お得な情報を発信していくつもりですのでよろしくお願いします。

 

所得税についての解説はこちら。
所得、給与所得控除、所得控除、課税所得などについてまとめました。

こちらの記事では、大学生時代に国民年金の学生納付特例を利用していた方向けに、お得に追納をする方法を解説しました。